◆経験の言語
外の世界からの様々な刺激の性質や程度に応じて感覚器官の反応を表す言葉がある。それらの言葉の用法や使い分けは佛治療などによって計測したり定義したりすることは難しい。
このような言葉は経験の言語と呼ばれている、白―黒・赤―青などの色の感じ方の違いを表す言葉も典型的な経験の言語の例にあげられている。
色を表す言葉の中でもこのように刺激量やその性質などによって客観的に定義することが困難で平易な言葉で説明することができないような言葉はそれぞれの言語における基本色彩語と考えられる。
基本色彩語は色名のようにその言葉の意味や由来を説明することが困難でどんな色なのか紹介することもできない。
日本語では7~8世紀以前からアカ、アヲ、シロ、クロなどの基本色彩語がつかわれていた。
● 赤・青・白・黒は「経験の言語」のため、名前の由来はない
◆色のカテゴリーと色覚
私達の目に見える色の世界は物理的にも視覚的にも完全な3次元の連続空間を形作る。たとえば可視スペクトルの色の変化(いわゆる虹の色)は光の波長の連続変化に対応している。
このような無数の色の連続変化を私達は非連続的な色のまとまりとして分類し、認知することができるのはなぜだろうか。おそらくそれは「あか」とか「しろ」などといった基本色彩語が作り出した色のまとまりであって、経験学習の所産にちがいないと考えられている。
こうして分類された色のまとまりのことを色カテゴリーという。
ところが経験しながら使い方を覚えるほかはないのが基本色彩語のはずなのに、私達はなぜか赤らしい赤や黄色らしい黄色、本当の緑、純粋な青、真っ白とか真っ黒などの色がどんな色なのかを知っている。各色のカテゴリーの典型的な色の感覚はどの言語でもほとんど共通とされているのも不思議である、
日本人が赤らしい赤と感じる赤は英語のレッドでも中国語の紅でもほぼ同じ色になるらしい。
これらの赤、黄、緑、青の色をユニーク色といっている、
基本色彩語は経験学習の産物であるばかりではなく人類の普遍的な色覚特性を基礎として成立している。
● 赤・黄・緑・青は「ユニーク色」 人類の共通な色覚で判別している
◆基本色彩語の数と種類
色覚の主要色、白・黒・赤・黄・緑・青の6つの色彩語に5つ(中間色/グレイ・ブラウン・オレンジ・ピンク・パープル)の色彩語を加えればたくさんの色も11種類の基本色彩語によって各カテゴリーごとに系統的に分類することができる。
ただしあとから派生した5つの基本色彩語には本来なら色名だった用語も含まれている。
● グレイ=灰色 物が燃えたあとに残る灰の色
● ブラウン=茶色 茶の葉や茎の煎汁を染料とした茶染めに由来する
● オレンジ…英語のオレンジは果実の色を表す色名
● ピンク…撫子や石竹の花の色からとられた色名
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日本の基本色彩語
日本語の基本色彩語のなかでももっとも基本的なものは形容詞活用を持つとされている。最古の基本色彩語しろーくろ、あかーあを は基本色彩語の基本色彩語の条件を十分に備えた二組の反対語対でそれぞれの語尾に「い」をつけて「白い黒い赤い青い」と形容詞活用ができる。
【色の名前507】福田邦夫著から抜粋
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